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ICU体験記 Part.3 「喉が乾いたー!」   



近所のスケベドクターからの紹介でやってきたアッパーイーストの脳外科は、

場所柄もあるのか落ち着いた良い感じのドクターオフィスでした。



スケベドクターから、


「シリアスな状態かもしれない」


とは言われてたけど、

まさか自分が生死の関わる病気だとは夢にも思ってなかった私は、

子供を近所のママ友達に預けたままだったので、

「今日の晩御飯は何にしようかなぁ。帰り道に買い物して帰らなきゃ」

と、診察が終わった後の段取りばかり考えてました。



そして私の順番が回ってきて脳外科医のドクターに診察してもらうとどうも雲行きが…

ちなみにやはりこっちのドクターは服を脱げなど、

まーーーったく一言もありませんでした。

やっぱりあのスケベドクターは怪しい!

こちらのドクターは何の怪しいそぶりもなく、

丁寧に説明してくれて信頼できそうでした。



このドクター曰く、


「今の段階ではまだはっきりわからないが、最悪手術になる可能性もあります。

でも今の医学は発達してて、頭を開けなくてもカテーテルで治せる可能性も高いので、

今から心配する必要ないから」


とのことでした。

私としては手術なんてこれっぽっちも頭になかったのでびっくりでしたが、

先生が、


「とりあえず大きな病院できちんと調べてからじゃないと手術が必要か必要じゃないかわからないので」


というので、

ま、先生は念の為に最悪のケースを話してるだけだろうってまだ高を括ってました。



その後、そのドクターオフィスから歩いてすぐのLenox Hill Hospital にオフィスのスタッフと共に向かいました。

その時の話は私の過去の記事の終わりのほうに書いてありますので、

もし良かったら読んでみて下さい。

ニューヨークでサバイバルする為に必要な事



その記事の中にも書きましたが、

こっちのEmergencyというのはほんと待ち時間が長く、

朝からホームドクター、その後、脳外科、それからEmergencyと立て続けに病院めぐりをして、

ようやく自分の順番が回ってきた時には夜になっていました。



サバイバルなEmergencyの待合室から脱出できてホッとすると、

今度は急にお腹がすいてきました。

そういえば朝から何も食べてないし、

喉もすごく渇いてて苦しい…



待合室から脱出しても、

病室ではない通路のような所にベッドが何台か置いてあって、

そこに寝かされながらドクターの診察が回ってくるのを待ってると、

隣のベッドからぷ~んとハンバーガーとフレンチフライの香りが…

(こういう状態の時でもアメリカ人はハンバーガー食べるのね)

ダブルビジョンがひどくなって、

見えにくい目で匂いのするほうを見てみると、

隣のベッドに寝てる女性患者の付き添い人である彼氏が差し入れを買ってきたようで二人で食べてました。

ただでさえお腹がすいて喉が渇いて死にそうだったのに、

その横で仲良さそうにハンバーガー食べるなんて、


羨ましすぎる~~!


特にその冷たくておいしそうなコークが飲みたーい!!

私にも買ってきてーって言いたかったのを必死で堪えてました…



その後、ようやく順番が回ってきてベッドごと移動され、

ドクターに診て貰うとやはり私はかなりシリアスな状態らしく、

手術になる可能性が高いとのこと。

とりあえずCTスキャンとMRIで調べてからってことで、

また私だけ奥のガラス張りになった病室に移動されました。



その時点でもうかなり遅い時間帯だったので、

とりあえず子供を預けてる友人に連絡を入れなきゃって思ったけど

病院内は携帯電話は使用したら駄目だしって思って待合室のほうに出ようとしたら、

警備員が慌ててやってきて静止されました。



その警備員に、


「どこに行くの?」


って聞かれたので、


「友達に電話をしに行く」


っていうと、

その事をドクターに伝えて許可が出たようで「OK」と言われたので待合室に出て電話をしていると、

さっきの警備員がずっと私を監視しています。

この厳重な警備ってもしかして、


私が逃げ出すとでも思ってるの?


ってちょっとびっくり。

患者服で逃げるわけないよーって思ったけど、

そういう人たちが過去にいたからこそ警備が厳しいんだろうなって思うと、

いろんな事情があるんだなぁって感慨深くなりながら深夜の待合室で電話してました。



でもとにかく背後に立たれてると落ち着かないので、

とりあえず友達に、


「このまま手術になる可能性があるんだけど、

何せ病院だから携帯使えないから、連絡がないってことは手術してると思ってて。

子供達の件はさっきEXに連絡入れたのですぐに迎えに来るから」


とだけ伝えて切りました。



こんなに携帯電話に関しては気を使っていたのに、

実はアメリカの病院じゃ、

ICUの中でさえ、皆携帯電話 使いまくり っていう事実が後で判明しましたが…



その後、自分のベッドに戻り、

とにかくお腹がすいたー、喉が渇いたーってどんどんそれ以外考えられない状態になってきた時、

遠くのほうからかすかな声で、


「chicken sandwich or turkey sandwich?」


っていう 天使の声 が!!

その声はだんだん近づいてきます。



あーようやく食べ物と飲み物にありつけるだーって嬉しくなって、

チキンとターキーどっちにしようかなぁ、

やっぱターキーはパサパサするし、チキンだよね。

うん、チキンにしよう!って心に決めて、

大人しく順番が回ってくるのを待ってると、

ようやく隣のベッドまで回ってきました。



次は私の番!って思ってワクワクして待ってると、

なんと、そのまま彼女は行ってしまおうとするじゃないですか!!

慌てて、でも内心焦ってるのを隠して優しーく、 


「Excuse me~。May I have a chicken sandwich please ♪」  


て、ニコ っと笑顔も忘れず伝えると、

その看護婦は一瞬困った顔をして、


「ちょっと待ってて。あなたの場合、ドクターに聞いてこないと」


っていうじゃないですか!

何でドクターに聞かないといけないのーー??

って思いながら、

もしかして食べ物にありつけないのか?っていう不安いっぱいでその看護婦が戻ってくるのを待ってると、

すまなそうな顔をした彼女が戻ってきて、


「ドクターに聞いてみたけど、あなたは手術することになるかもしれないからあげれないの…」


と…

食べれないのはまだ我慢できたんですが、

とにかく朝から何も飲み物を飲んでなくて、

喉の渇きが正直限界だったので、


「それじゃ、お水だけ貰えますか?」


って言うと、


「水も手術が終わるまで飲んだら駄目なの」


とのこと…



この時ばかりは何故か手術するかもって言われた時よりもはるかにショックが大きくて、

今まで張り詰めてた緊張の糸がぷちっと切れたのか、

つい涙がぽろりと出てしまいました…



もうこれから当分水を飲めないだって思ったら苦しくて咄嗟に看護婦を呼んで、


「I need to go to the bathroom」


って言ってトイレに行かせてもらって、

トイレのタブウォーターを狂うように飲んでしました…



でもこれは入院生活で手術よりも何よりも一番苦しかった喉の渇きとの戦いの始まりでしかありませんでした、、、、





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ICU体験記 Part.4 「死にたくない!」へ行く

by ukainounyc | 2008-03-29 21:46

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